こんにちは。
最近はもっぱら灌流実験尽くしの筆者です。
そんな私が実験終わりに毎回思うこと…
それは、
「洗浄誰かやってくれ・・・!!」
しかし首を振って思い直し、渋々と洗浄を始めます。
(この経験皆さんもきっとあるはず・・・)
なぜなら、
灌流実験において実験後の洗浄は
「絶対不可欠」だからです。
今回の記事は、灌流実験に大切な実験後の洗浄方法についてです。
筆者が実際に行っている洗浄例をもとに、灌流システムの洗浄方法を全部ご紹介します。
目次
1.洗浄の重要性
2.一番の肝は「チューブ洗浄」
3.ポンプの中はどうするのか
4.チャンバー洗浄
5.まとめ
1.洗浄の重要性
洗浄が必要な理由はただ一つ、「正確な実験」を行うためです。
灌流実験では培地や血液などの灌流液を送液するための流路として、
たくさんのチューブが登場します。
実験の中でこのチューブに様々な培地を流すのですが
実験後の洗浄が不十分だと、培地の成分がチューブの中に残ったままとなります。
すると、次の実験でその成分は新たな培地と混合してしまい・・・
当然、コンタミする可能性が出てきます。
(もちろんコンタミすれば、かけた時間と労力はすべて水の泡に・・・)
だからこそ、正確な実験を行うには洗浄が欠かせません。
また、チューブは灌流実験において一番培地に触れている箇所なので、
一層念入りに洗浄しなくてはなりません。
2.一番の肝は「チューブ洗浄」
ではチューブをどうやって洗浄するのか、私の洗浄例をもとに一つずつ説明していきます。
洗浄しやすいように、ポンプユニットやチャンバーからチューブを取り外してから
次の手順で洗浄を進めます。
1) シリンジを用いてチューブの中に水を2~3回通します。
ここで大部分の培地による汚れを水で洗い流します。
2) シリンジを用いてチューブの中に70%エタノールを2~3回通します。
チューブ内をエタノールで滅菌し、清潔にします。
3) チューブ内に空気を通して液体を取り除いてから、チューブ内を乾燥させます。
EOG滅菌をする場合は乾燥を行ってください。チューブ内に液体が残存しているとEOGガスが液体に溶け込み、細胞の毒性が起きる恐れがあります。
まずは空気を通してできるだけチューブ内の液体を取り除き、
そのあと乾燥機にかけるなどして入念に乾燥させてください。
なお、オートクレーブ滅菌の場合は滅菌後に乾燥させるので、3) の工程は不要です。
3.ポンプの中はどうするのか
ポンプ内にもチューブは通っており、もちろんここも洗浄しなくてはいけません。
ただここで、ポンプヘッドがあるタイプのローラーポンプを使用の場合、
少し注意が必要です。
この場合は、
シリンジを用いてポンプ内に液体を通すことがポンプの構造上できません。
そのため、ポンプの動力を用いて水と70%エタノールを通します。
1) 洗浄するポンプヘッドにチューブを接続し、ポンプヘッドをポンプユニットに取り付けます。
2) ポンプを作動させ、チューブの中に水→70%エタノール、の順にそれぞれ2~3回通します。
3) チューブ内に空気を通して液体を取り除いてから、チューブ内を乾燥させます。
これでポンプ内のチューブ洗浄は完了です。
ポンプヘッドがない場合は、シリンジを用いて同様の手順で洗浄してください。
4.チャンバー洗浄
ここまで来れば、後は最後の仕上げです。
チャンバーを家庭用食器洗剤とスポンジを
用いて洗浄します。
筆者は傷が付かないよう泡で優しく洗うことを心掛けています。
(カスタムメイドチャンバーは高価なので・・・(^^;))
洗浄後すべての物品を乾燥機あるいは
室温で乾かします。
オートクレーブ滅菌をしている方は、
滅菌後に乾燥させて後片付けは完了です!
5.まとめ
今回は灌流培養で大切な実験後の洗浄方法についてご紹介しました。
内容をまとめると、
■ 灌流培養にはチューブ洗浄が不可欠
■ 水と70%エタノールをチューブ内に2~3回通す
■ ポンプヘッドが付いている場合は、ポンプを作動させてポンプ内を洗浄する
ということになります。
いかがでしたでしょうか?
大前提すべてディスポで用意して実験をすれば洗浄の必要はありませんが・・・
その場合、どうしてもコストがかさんでしまうので厳しいと感じる研究者の方も多いかと思います。
しかし、きちんと正しい洗浄を行えばコンタミすることはないので、ご安心を!
(私は灌流実験を初めて4年経ちますが、1回もコンタミしていません!)
この記事が、灌流培養が気になっていた方、洗浄方法に疑問のあった方などの参考になれば
とても嬉しく思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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