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開発ストーリー|開発者の思い(臓器培養システム開発実例・秘話)|東海ヒット



開発実例として、臓器培養システムの開発ストーリーを紹介します。

実際に開発に携わった物語を、開発者本人の目線でお伝えします。


灌流システムとしての提案も同じように共同作業で行うことができます。

現場の生の声を反映した装置をあなたも作ってみませんか?


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目次

  1. 研究現場へ飛び込め

  2. 想像を超える難しさ

  3. 多くの人へ臓器灌流を

  4. 届けたい想い



研究現場へ飛び込め




「生体外で臓器を創る容器を作ってくれませんか」

最初のオファーをいただいた時、弊社の小型培養装置技術を活かせると直感し、開発を始めることにしました。

”実際の研究現場へ飛び込まなければ、この課題は解決できない”と考え、なんとか社長を説得して、オファーをいただいた東京女子医科大学先端生命医科学研究所の研究生として臓器灌流研究をさせていただくことになりました。


研究者として実際の研究をしながら、メーカー開発者として「ほしい機能」、「使い勝手」を確認しながら機器開発を行う日々が始まりました。


実験室に入ってみると、会社の開発室では見たこともないような器具や手技、動物の管理から麻酔の手技まで何から何まで初めてのことばかりでした。最初は、何度も研究者の先生の後ろから動物から組織を摘出する手技を見学させていただく修行の日々が続きました。

「こんなことが自分にできるようになるのか」と思ったこともありましたが、根気よく指導してくださる先生のおかげで、少しずつ手技を習得していき、何とか自らの手で動物から臓器を摘出して灌流ができるようになってきました。




想像を超える難しさ



研究は、血管床と呼ばれるラットの大腿骨格筋組織を動静脈付きで採取し、それを灌流装置で灌流培養し、その上に心筋シートを積層していく内容でした。


実際の実験では、灌流開始の1週間前にラットの体内で血管を処理しそのあと摘出した筋肉組織の灌流を開始し、(ここまでは準備段階)、そのあと細胞シートを積層化して心筋組織を作製する(これがメインの実験)、これが当時の実験でした(注1)。

はじめのうちは、準備が不十分で、準備段階でコンタミネーションが発生したり、血管が挿入できなくてせっかく摘出した臓器が灌流できなくなったり、なかなかメインの実験に進むことすらままならない日々が続きました。一つ一つの灌流実験の準備がどのくらい大変で、どのくらい時間と手間がかかっているかを文字通り肌で感じました。

一番大変だったのは、柔らかい臓器をいかにして硬い容器に固定するかでした。特に、血管はとにかくつるつる滑る。実際に臓器灌流を行ってはじめてわかることの連続な状況の中、一つ一つ「こういった構造はどうか」「もう少し柔らかい素材を使用してみよう」などと考案して、社に戻って試作し、次の週には実験室で試し、また次の課題が見つかる。

 

「この素材を使えば柔らかい臓器が固定しやすくなるかもしれない」と試作しては、また試す。今度は、「素材の柔らかさはよかったけれど、滅菌に耐えられなくて溶けてしまった」などとまさに試行錯誤の繰り返しでした。

当時は、実験結果を月曜日に報告して対応策をすぐに自ら設計する訳ですが、迅速に試作をしてくれる社内の仲間には非常に助けられました。時には、月曜日に設計を完了して、2日間で試作を仕上げ、その週に実際の実験に使用できる週もありました。もう、みんな夢中でしたね。臓器灌流を始める成功率が50%を超すのに半年以上かかりましたが、なんとか私の手で臓器灌流ができるようになってきました。


注1 詳細は論文を参照:

Sekine H, Shimizu T et al. In vitro fabrication of functional three-dimensional tissues with perfusable blood vessels. Nat Commun, 2013.

Available from: https://www.nature.com/articles/ncomms2406





多くの人へ臓器灌流を



その後、東京女子医科大学の大学院へ社会人大学院生として、ラット大腿骨格筋を生体外で灌流するテーマの研究を実際に行いました。また、新しいプロジェクト(注2)も採択され、プロジェクトの実験でも臓器灌流装置を使用していただけることとなりました。

自分以外の研究者も臓器灌流装置を使用する状況になり、これまで自分が感じていた部分に加えて「最初のセッティングが煩雑」「柔らかい臓器や血管を保持するのが難しい」「狭いラボの中で設置するにはなるべくコンパクトな方がいい」「実際の臓器付近温度が正確に制御できているかわからない」など、多くの意見をいただきました。

「最初のセッティングが煩雑」や「柔らかい臓器や血管の接続が難しい」という意見を、掘り下げて詳しく聞いてみると、チューブ類やポンプの選定が煩雑であったり、血管の接続がうまくできなかったりして、臓器を灌流して臓器を作製する等チャレンジングな課題に挑む前に、セッティングの段階で手間と時間が多くかかっていることがわかりました。

また、同様に「狭いラボの中で設置するにはなるべくコンパクトな方がいい」、「実際の臓器付近温度が正確に制御できているかわからない」という意見は、弊社の得意とする小型培養装置の技術を応用することで解決できそうでした。

そこで、私は“臓器灌流を始めるまでのハードルを低くして、そのあとの研究に時間を費やしてもらいたい”という強い想いを持つようになり、皆さんに使ってもらえる「臓器培養システム」に仕上げることを決めました。

注2 AMED事業「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発/細胞を用いた機能的な立体臓器作製技術 の研究開発/細胞シート工学を基盤とした革新的立体臓器製造技術の開発





届けたい思い


臓器培養システム」の目指すのは、広く皆さんに使ってもらい、臓器灌流をツールとして新しい研究のアイデアとなるような機器です。

「最初のセッティングが煩雑」「柔らかい臓器や血管の接続が難しい」というハードルを解消するために、培地瓶から血管までをつなげるチューブ類をすべて「チューブセット」としてセット化し、チューブ類の選定の必要をなくしました。

また、血管内に送液するポンプは大型で、その特性も様々あり選定が煩雑でしたのでこちらもセット化しました。

また、実際に柔らかい臓器を保持する「臓器チャンバー」は灌流する臓器ごとにカスタマイズします。


臓器によって特性やサイズが異なるためカスタマイズ対応とし、柔らかい臓器を確実に保持するノウハウや、1㎜程度の血管にチューブをつなぐノウハウを使用して迅速にカスタマイズします。将来的には、大量生産によりディスポーザブル化も視野に入れられます(研究所内での実績あり)。



皆様のご要望にお応えし、カスタムメイドに加え、ラット小腸用、ラット骨格筋用のチャンバーをラインナップしました(2020.2.25追記)。

さらに、「狭いラボの中で設置するにはなるべくコンパクトな方がいい」、「実際の臓器付近温度が正確に制御できているかわからない」という設置や温度制御のハードルを解消するために、コンパクト且つ高精度な温度制御が可能な「バイオリアクターユニット」としました。検証で実際の臓器付近の温度を測定して割り出した設定により4℃~37℃の温度制御が可能です。温度制御は、弊社ステージトップ®インキュベーターサーモプレート®の25年のノウハウをつぎ込んでいます。

開発者自身が研究現場に飛び込み、実際に実験を行うことで初めて見えた想像を超える難しさ。それを克服するために改良を地道に積み重ねて「臓器培養システム」の基盤技術を築き上げました。その後、多くの人へ臓器灌流を提供すること目指して開発を続け、「培養チャンバー」「チューブセット」「バイオリアクターユニット」の3つの構成で臓器灌流スタートのハードルを下げました。

”広く皆さんに使ってもらい、研究ツールとして臓器灌流を行ってもらいたい”という開発者の想いがたくさん詰まった「臓器培養システム」で臓器灌流研究をスタートしてみませんか。




登場した機器:EBRCH-OCS 

ラット小腸、ラット骨格筋などの臓器の

灌流培養ができます。



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現場の生の声を反映して、共同で世界にない灌流系を作ってみませんか?

同じような開発を行ってみたい方は、こちらからご相談ください




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