こんにちは。
細胞実験で、薬液投与実験していますか?
・薬液投与のあと混合するかしないか、
・そもそもどのように違うか
など疑問に思ったことはありませんか?
今回の記事では、実際にディッシュ内に薬液を投与して、混合する・しないで薬液の状況を検証してみましたので、ぜひご参考ください。
目次
薬剤試験とは
DMSOの役割
混合の必要性
観察中の混合
自動化のさらなるメリット
まとめ
1.薬剤試験とは
培養中の細胞に薬剤を投与して反応を見る試験です。薬剤の種類は、医薬品候補物質などの薬効を確認するもの、細胞を光らせる基質、染色液などが挙げられます。
医薬品候補物質の添加は、対象細胞に対しての薬効や薬理試験を行う際に行います。主な評価は、細胞の生死判定(どのくらい細胞が死ぬか)が行われているようです。
細胞を光らせる基質、染色液の添加は、対象細胞の状態を詳細に解析したい場合などに行います。評価は、主に蛍光顕微鏡による観察・撮影が使われることが多いです。
2.DMSOの役割
通常、上記のような薬剤を培養中の細胞に添加するには、培養上清に直接少量を添加するか、培養上清を薬剤入りのものに取り換える方法のいずれかが行われます。
直接少量を添加する際によく溶媒として使われるのはジメチルスルホキシド(DMSO)です。
細胞培養と薬液添加を行った人ならなじみのあるDMSOは両親媒性のため、水にも油にも溶けるので、水に溶けにくい脂溶性の薬剤を培地中に溶かす際に必ずと言っていいほど使います。
実際に、脂溶性の薬剤に見立てた油性インクを培地に見立てた水に添加する検証を行ってみました(下の動画)。
DMSOと混合した油性インクは、ピペッティングするとよく水に溶けて均一になりますが、油性インクのみでは、分離してしまい、混ざりません。
DMSOってすごいですね!こんなに違うとは思いませんでした。
3.混合の必要性
培養上清を薬剤入りのものに取り換える場合は、あらかじめ薬剤が均等に混合されているので問題ありませんが、直接培養上清に少量を添加する場合は、全体に薬剤が広まるように混合する必要があります。
そこでよく行うのがピペッティング作業です。
実際には、どのくらいピペッティングで混合されるのでしょうか?
薬剤に見立てた油性インクを用いて検証してみました。(下の動画)
当たり前かもしれませんが、ピペッティングするとよく混ざりますね。一方で、ピペッティングなしのディッシュは、拡散によって一見広がっているように見えますが、動画の最後で横から見てみると、上下の濃度差がかなりあることがわかります。
やはり、少量添加時の混合は必須のようです。
4.観察中の混合
薬剤を少量投与した際には、混合(ピペッティング)が必須であることがわかりました。
それでは、この混合操作は実際の実験では行うことができるのでしょうか。
特に顕微鏡観察を伴うほとんどの実験では、下記の作業フローが想定されます。
顕微鏡ステージ上の蓋を開ける
↓
薬剤を添加する
↓
ピペッティングする
↓
観察する
この一連の作業を、観察中の細胞を動かさずに精度よく行う必要があります。
もし、培養中の細胞に添加して同様の作業を行うとなると、かなりの慎重な操作を求められますね。
さらに貴重なサンプルであったら、なおさら手が震えてしまいそうです(笑)。
弊社の細胞用灌流システムなら、サンプルに触れずに、投与、混合ができます。
実際に試してみた動画は下記です。
手動でのピペッティング同様、薬剤に見立てたインクが均一に混ざっている様子がわかります。
特に、動画の最後で、上下方向の均一性も保たれています。
これなら、震える手を抑えながら投与・混合の操作をする必要がなさそうです。
5.自動化のさらなるメリット
細胞灌流システムでは、サンプルに触らずに投与混合ができるのに加えて、プログラム動作が可能なため、投与直後(0秒)の撮影が可能です。
細胞内部の迅速な反応を観察したい際におすすめです。
そのほかにも、顕微鏡やその他周辺機器と信号のやり取りをしてプログラムを動作することも可能です。(信号を受け取って動作、動作した後信号を受け渡す)
この辺りはまた別途解説したいと思います。
6.まとめ
以上まとめますと、
薬液投与に使われるDMSOは、脂溶性薬液を培地に溶かすのはすごい
薬液投与後は混合は必須
顕微鏡の観察中の投与・混合は難易度高
といったことでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
細胞に何らかの薬液投与をする実験をしている方々に少しでもお役に立てる内容となっていれば幸いです。
東海ヒットでは、
「こんなことはできないの?」
「こういう灌流してみたいのだけれど」
などというご要望をお待ちしております。
ラインナップや技術の組合せで最適な灌流環境を提案させていただきます。
ありがとうございました。
登場した製品
灌流・培地交換・薬液投与・混合の作業をプログラムできます。
チューブヒーターの採用で、サンプルの温度変化を最小限にします。
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