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インパクトファクターの調べ方と計算方法について

  • 執筆者の写真: Tokaihit
    Tokaihit
  • 9月12日
  • 読了時間: 7分



PubMedの使い方イメージ

インパクトファクター (Impact Factor, IF) は、学術雑誌の影響力や重要性を示す指標で、その学術雑誌が他の論文にどれだけ頻繁に引用されているかを数値化したものです。あくまで論文誌を評価する基準のひとつではありますが、論文を引用するうえで参考にされている研究者も少なくありません。本記事では、そのインパクトファクターの調べ方とどのように決められているかをまとめました。論文の執筆や閲覧において役立つ情報を載せているので、ぜひ最後までご覧ください。




目次





1.インパクトファクター(IF)の基本情報



1-1)インパクトファクターとは


インパクトファクターは学術雑誌(ジャーナル)を評価するための指標の1つで、ジャーナルの引数を参考に、そのジャーナルが各分野内でどれだけの影響力があるかを数値化して表したものです。

あくまでもジャーナル全体を評価した数値のため、個々の論文の影響力を示すものではありません。ですが、同じ分野のジャーナルを比較する定量的な指標のひとつであり、論文の投稿先を選択するうえでの材料として参考にされることがあります。




1-2)インパクトファクターの計算方法


インパクトファクターは、調べたい年の直前2年間に掲載された論文を基準として、以下のような計算式で算出されます。


インパクトファクター(IF)=対象年に引用された回数 ÷ 直前2年間で公開された論文数


例えば、2025年に2000回引用された論文が、2024年と2023年合わせて1000本の論文を掲載していた場合、2000÷1000でIF=2.0と計算されます。通常はこの計算にて算出されるため、目にするIFの数値は対象年を含めた直近3年間のデータをもとにされていることがわかります。また、引用回数を論文数で割っているので、掲載されている1つの論文が平均何回引用されているかを表していることになります。




2.インパクトファクターの調べ方


インパクトファクターは、JCRの有料会員用サイトから、JCRもしくはWeb of Scienceで調べることが可能です。大学や研究機関では有料契約がされていることが多いので、所属先の図書館のサイトからアクセスするなど有料の情報を閲覧できる環境において操作してください。



2-1)Web of Science での調べ方


「Web of Science Core Collection」は、膨大な学術雑誌の論文や会議録などが含まれる引用データベースです。無料登録と有料登録の2通りがありますが、インパクトファクターを調べるには有料会員への登録が必要のためご注意ください。調べたい学術雑誌に掲載されている論文を検索し、表示された論文の下にある「ジャーナル情報を表示」をクリックすると、インパクトファクターが表示されます。



2-2)JCR での調べ方


Journal Citation Reportsのサイトではより詳しいインパクトファクターの検索ができます。JCRのトップページから、ジャーナル名を直接入力して検索することで、ジャーナルの詳細を調べることや他のジャーナルとの比較なども可能です。ジャーナルの情報ページにはタイトルやISSN・JCRでの分野などの基本情報のほか、過去から最新のインパクトファクター・論文・レビューそれぞれの引用の分布・過去5年の推移を表すグラフ・国や地域ごとのデータ・組織ごとのデータなど詳しい分析結果を閲覧できます。



2-3)学術雑誌での調べ方


ジャーナルの中では、公式サイト内にインパクトファクターを公開しているものあります。そのため、まずはGoogleなどの自然検索にて、「ジャーナル名 インパクトファクター」などで公開されているかどうかを確認するのも良いかと思います。ただし、ジャーナルによっては公開されていても最新の情報がまだ反映されていない場合もあったりするので、注意が必要です。



3.インパクトファクターの注意点


冒頭にも記載しましたが、インパクトファクターはジャーナルの引用数をもとに算出したそのジャーナル全体の影響力を示す指標の一つであり、掲載された個々の論文の質を評価するものではありません。そのため、「 インパクトファクターが高いジャーナル=質の高い論文が掲載されている 」とは一概には言い切れません。例えば、ある1つの論文の引用数が突出して高い場合、論文1つ当たりの平均引用数であるインパクトファクターは当然高くなります。既存の先行研究を体系的にまとめた総説論文(レビュー論文)が含まれる場合などがよくあるケースです。

また、インパクトファクターは直前2年間のデータを参考にしているので、どうしても流行りの研究などが高くなりがちで、反対にマイナーな研究ほど低くなる傾向にあります。研究分野によってインパクトファクターの平均値は大きく異なるため、数値を比較する際には注意が必要です。




4.インパクトファクター至上主義(IF至上主義)とは


数ある分野の中でも医学におけるジャーナルのインパクトファクターは、研究者人口が多いことや研究サイクルが早い点などから比較的高い傾向にあります。その中でもトップジャーナルである「CA-A」や「New England Journal of Medicine (N.E.J.M)」は100を超えた数値となっています。このようなトップジャーナルに論文が掲載されることは研究者にとって栄誉あることです。掲載されることで予算研究が増加したり、職位のあがるきっかけにもなりえるかもしれません。一方でこのインパクトファクターの影響で疑問視される考え方が生まれ始めており、それが「インパクトファクター至上主義(以下IF至上主義)」と呼ばれる考え方です。


IF至上主義とは簡単にまとめると、研究者や研究成果の評価基準において、インパクトファクターを過度に重視するような考え方です。この考え方によって、学術界全体の発展を妨げるような様々な弊害が危惧されています。例えば研究者が高IFの雑誌に掲載されやすいテーマや、引用されやすい研究手法を選びがちになることで、派手さはないが重要な研究や新しい手法を用いた挑戦的な研究が減っていく恐れがあります。また、特定の分野に研究が集中することで研究テーマの多様性が失われる可能性もあります。高IFのジャーナルを目指すことをモチベーションとするのは良いことですが、IF自体に囚われるのではなく、あくまで指標の一つとして考えることが求められています。




5.まとめ



今回は、「インパクトファクター」の使い方に焦点を当てて解説しました。

記事の内容をまとめると、以下の通りです。


  • インパクトファクターとはジャーナルの引用数をもとに、そのジャーナルがどれだけの影響力があるかを数値化して表したもので、下記の計算式で求められる


    インパクトファクター(IF)=対象年に引用された回数 ÷ 直前2年間で公開された論文数


  • インパクトファクターはJCRの有料会員用サイトにて調べることが可能

  • インパクトファクターはジャーナル全体での評価指標であり、掲載された論文や執筆した研究者を評価指標ではない


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