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拍動流OR定常流 どちらがいいのか?論争について

#灌流知識 #臓器灌流 #細胞灌流 #拍動流



みなさんこんにちは。今日も灌流装置の新しいアイデアはないかと朝から考え込んでいたエンジニアの佐野です。

今回は、灌流の永遠の(?)課題

拍動流 か 定常流 か

についての議論を取り上げたいと思います。

  • 拍動流と定常流のメリットデメリットが知りたい

  • そもそも拍動流とは?

  • 灌流実験ではどちらがいいの?

などの疑問にお答えできる内容になっていれば幸いです。


目次

  1. そもそも拍動流とは

  2. 定常流とは

  3. 人工心臓では

  4. 血管側からみると

  5. 臓器単体では?

  6. まとめ



そもそも拍動流とは



拍動流とは拍動の流れのことでありますが、拍動とは、

内臓の周期的な収縮、弛緩が繰り返された場合に起こる運動である。”

(ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8B%8D%E5%8B%95 )とあり、その運動でできる流れのことを拍動流ということでよさそうです。


というか、拍動は生体の中の現象に限られていたのですね!脈動は機械(ポンプ)のことも指すようですが、拍動となると生体限定です。



定常流とは



それに対して定常流とは、一定の速度で送液する一般的な送液方法です。今回の内容では、拍動流と対比させるためにあえて「非拍動流」と表記されることもあります。


実はポンプを使った送液で、完全に定常流とすることはなかなか難しく、連続的に定常流で送液する手法を臓器灌流レベルで実現するのには根気がいる作業です。この理由は、ローラーポンプを使っているためなのですが、この辺りの話題は、また別記事にしたいと思います。

東海ヒットでは、定圧で送液できる定圧送液ユニットをラインナップしています。


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人工心臓では


生体の灌流ともいえる人工心臓の歴史では、そのポンプの駆動方式を拍動流とするか、定常流とするかは古くから議論がなされ、現在においても議論され続けている内容と思います。


人工心臓の最初は、1957年に阿久津、コルフらによって報告されて以来、拍動流が主流でした。


これは筆者の予想ですが、おそらく、生体での送血は心臓による拍動流だったため、そのまま模倣して開発されたと考えられます。








しかし、その後米国での動物実験において、


“無拍動流でも3か月間、動物が生存した” 

ことが報告され、その耐久性の高さを理由に無脈動型も扱われるようになっていったようです(国循のウェブページより 2020年6月25日アクセスhttp://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph42.html#anchor-4)。


人工心臓は、拍動流でも定常流もどちらもあるというのが現状です。





血管側から見ると



一方で、血管内皮細胞の側から見ると、拍動流の方が何かしら有利な印象のようです。


イメージ的に考えても、生体の血管(特に動脈)は、常に拍動流にさらされているのですから、なんとなく、拍動流の方が血管にはプラスの作用を及ぼしそうです。



メカノバイオロジーの分野では、特に血管内皮細胞において多くの検討がなされています。


Google Scholarでキーワード「endothelial pulsatile」と調べると、約22700件の文献がヒットします(2020年6月25日アクセス Google Scholar https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&q=endothelial+pulsatile&btnG=)。


安藤らの文献では、 “同じ強さのずり応力の場合、おおむね定常流よりも拍動流の効果が大きい”とあり、(安藤ら,日本血栓止血学会誌 第13巻 第3号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/13/3/13_3_227/_pdf)拍動流の有意性を示唆しています。

ということで、血管特に末梢側から見ると、拍動流の方がよさそうです。




臓器単体では?



それでは、細胞と生体のちょうど間の臓器単体での実験ではどちらが良いのでしょうか。

だんだんマニアックになってきました。そう、Ex-vivoでの臓器灌流ではどうなのかという疑問です。

この疑問を研究すべく、著者は医科大学に研究員⇒社会人大学院生となり研究漬けの毎日を送り、それをまとめて論文化しました。

答えとしては、少し複雑で、拍動流を臓器外部からかけてあげることで、少なくとも定常流よりはよい結果が得られました。

学術的な解説と議論の詳細は、下記論文に譲りますが、外側から臓器全体を間欠的に加圧すると、動脈側は疑似的に拍動流となるのに加えて、臓器全体の灌流状態もよくなり、長期に生存したこと示しました。


【関連記事】:

【Ex-vivo臓器灌流】筋肉・骨格研究への応用例

(14日間の長期灌流)



【学術論文】:

Intermittent application of external positive pressure helps to preserve organ viability during ex vivo perfusion and culture 



もちろん、この検証を実現するには、試行錯誤、特に装置の改良と実験を繰り返したのですが、この辺りの詳しくは別記事にてご興味のある方はご覧ください。


臓器単体では、マイルドに拍動加圧するとよい



まとめ


拍動流が良いのか、定常流が良いのかという壮大な議論を今回の記事では取り上げました。

内容をまとめると


  • 人工心臓は、拍動流でも定常流もどちらもある

  • 血管から見ると、拍動流の方がよさそう

  • 臓器単体では、マイルドに拍動加圧するとよい


ということになります。

いかがでしたでしょうか。


拍動流と定常流はどちらがいいかという問題は、いまだ結論が出ていないのが現状です。

そんな分野を研究されている方々に少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

執筆者 佐野和紀



東海ヒットでは、臓器灌流技術を応用して細胞やその他灌流培養の実現をサポートする事業を始めました。


今回の記事にあるような、

・拍動流と定常流の両方できるポンプはないの?

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まずは、こちらからお問い合わせいただき、アイデアや構想をお聞かせください!


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